「ヌリタシ」という言葉を聞いたことありますでしょうか?
「ドブ」という言い方をすることもあります。
図1でピンク色をつけたところが「ヌリタシ(ドブ)」です。
紙印刷で使う用語ですが、図1で言いますと、オレンジ色の部分が実際の印刷物の仕上がりサイズ。
この範囲内にデザインをします。
ではその周りの「ヌリタシ」って何のためのものでしょう?
■ヌリタシが必要なデザインとは
「ヌリタシ」が必要になるのは、例えば下のようなデザインの場合です。
図2のように、仕上がりサイズの端まで色が入っているようなデザインの場合、実際の印刷用のデータ(入稿データといいます)は下のように作ります。
図3で仕上がり線からはみ出ている部分が「ヌリタシ」です。
このデザインの場合は左右と下に各3mmずつはみだしています。
はみ出した「ヌリタシ」は最終的には仕上がり線のところで切り落とされるのですが、なぜこのように作っておくのでしょうか?
■ヌリタシをつけるのはなぜ?
入稿データには必ず「トリムマーク(トンボ)」をつけておきます。
トリムマークは四隅の部分の線が2重になっていますね。
印刷会社は、この内側の線(内側のトンボで「ウチトン」と言ったりします)に合わせて断裁をします。
断裁は出来る限りトリムマークとずれないようにされるのですが、どうしても若干ずれてしまうことがあります。
それは仕方がないことです。
上図のようなデザインで水色の帯が仕上がり線ギリギリまでしかないと、断裁がわずかでもずれると紙の白が出てしまいますよね。
それは仕上がりとしてきれいではないので、若干断裁がずれても仕上がりに影響がなるべく出ないように、ヌリタシを作っておくんです。
3mmずつ多めに色をのせておけば、断裁が若干ずれたとしても端まできれいに水色が入る、というわけです。
■画像はとくに要注意
下の図のようなデザインの場合はとくに要注意です。
図4の用なデザインの場合は、水色の帯だけでなく、画像にもヌリタシを作っておく必要がございます。
そのため、入稿データは下の図5のようになります。
ヌリタシは仕上がり線から3mm以上出ていればいいので、トリムマークが隠れていなければ、3mmより多くはみ出していてもとくに問題はありません。
図5のように、画像も仕上がり線より3mm以上はみ出すことができていれば問題ございません。
問題となってしまうのは、配置している元画像が図4のように仕上がり線のところまでしかない場合です。
印刷用データはIllustratorデータで作成します。
Illsutratorで作成した方がいい理由は下記の記事をご参考にしてください。
上のデザインの水色の帯はIllustrator上で作った四角形ですので、いくらでもサイズの調整ができます。そのためヌリタシをつくることも簡単です。
一方画像が仕上がり線ギリギリまでしかないと、画像を3mm付け足すということは容易なことではありません。
例えば、山の風景を写真に撮ったとして、写っていない部分(山の稜線の続きや木々や空や山の手前の風景などなど)を自分で付け足すことをイメージすると、かなり難しいことが想像できると思います。
画像を仕上がり線の端までレイアウトしたい場合は、必ずヌリタシ分も考慮した画像(必要な部分のまわりの余分な部分も含んだ画像)を用意しておく必要があります。
ヌリタシは紙印刷独特のデータの作り方なので、ご存知ない方もたくさんいらっしゃいます。
ご自分で印刷会社にデータ入稿をする場合、ヌリタシをきちんと作れていると、印刷工場としては
「お~、わかってますねぇ~^^」
となりますよ!
ぜひご参考にしてみてくださいね。
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